そして、戸の隙間から二人を見る。 「一哉君!」 「何?」 「またね!」 別れの挨拶を済ませると、桜はこちらに歩いて来た。 「…っ!?」 桜の顔はうっすら赤く染まり、笑みを浮かべていた。 俺の前では決して見せたことがない笑顔。 それはまるで、恋する女の子が好きな人を想う時のモノ。 もしかして、桜はアイツのこと――。