空蝉の光 -桜花乱舞-



桜は人前ではあまり泣かない。



幼なじみの俺でも滅多に見ない程だ。



それに、桜を見るアイツの目は優しい。



やっぱり、世梨ちゃんの言う通りアイツは桜のことが好きなのかもしれない。



俺は身体を寄せ合う二人から視線を外した。



「暗くなって来たから、今日はもう帰りな?」



やばい、このままだと桜がこっちに来る。



俺は木の陰から近場にあった建物に隠れた。