「少しやり過ぎだ、馬鹿」 新は溜息を吐くと、私の頭を小突く。 「痛っ。…ごめんね、新、世梨」 「良いよ、別に。帰ろう、桜」 「うん」 私は新に促され、歩き出した。 見て分かるように、私は短気で口の悪い女に育っていた。 …多分、これはお父さん似だ。 そのおかげでこの16年間の人生で、恋人なんて出来た試しがない。