【恭介】



桜があの男と一緒に出て行った。



俺は呆然としながら、その場に佇んでいた。



「ねぇ、恭介君。もしかして、あの人が?」



「ああ。アイツが明治政府の要人の息子だ」



何で、明治政府の要人の息子であるあの男が桜に付きまとうんだよ!?



もしかして、桜の身の上がばれたか…?



でも、どっちにしたって気に食わないな…。



俺は親指の爪を噛んだ。