「もう良いや…。このままでも…」 私は彼に手を握られたまま、街を案内し始めた。 もちろん、私はかなり不機嫌だよ。 「此処が甘味屋。此処が雑貨屋」 自分でも無愛想だと思ってしまう程、私の態度は素っ気ない。 さっさと終わらせて、恭介ん家の新作お菓子を食べるんだから。 「此処は呉服屋。終わり」 街案内はテキパキとやっちゃったからあっという間に終わってしまった。 私はようやく自由になった手を上に伸ばした。