空蝉の光 -桜花乱舞-



「いらっしゃいま――、っ!?」



どうして、此処に彼が来るのよ?



「あ、桜ちゃん。昨日振り」



彼――、一哉君は私の姿を見つけるなり、ヒラヒラと手を振って来た。



まずい、顔が引き攣る。



「い、いらっしゃいませ。何になさいますか?」



あっちは客でこっちは店の者。


失礼は出来ない。



もし、失礼をしてしまえば、恭介の家の家名に泥を塗ることになる。



私は引き攣る顔に無理矢理笑みを浮かべた。