「どうした、桜?こんな時間に…」 お父さんは書き物を止め、私の方を見た。 今はもう高い位置に月がある。 いつもなら、もう眠りに就こうとしている時間帯だ。 でも、今夜は昼間のことが気掛かりで眠れない。 私はお父さん達に顔が合わせづらくて、俯いていた。 「桜?」 何も話し出そうとしない私にお母さんは心配そうに声をかけて来た。 私は意を決して、顔を上げた。 「あのね…っ」 私は昼間のことをすべてお父さん達に話した。