宿の前に着くと、一哉君のお父さんが仁王立ちしていた。 さすがは明治政府の要人…。 身に纏う雰囲気がピリピリと痛い。 「一哉。お前、私との約束を忘れたのか?」 「忘れてない。だから、父上に頼みがあります」 「頼み?」 一哉君の言葉に彼のお父さんは眉をピクリと動かした。