空蝉の光 -桜花乱舞-



「大丈夫だよ」



私は頬に触れている一哉君の手に触れ、笑みを向けた。



向けられた笑みに安心したのか、彼も笑みを浮かべた。



でも、すぐにその顔は哀しそうなものに変わった。



「じゃあ、そろそろ行かないとね…。さすがに一晩はごまかしきれない」



そうだ…、本当は一哉君は父親との約束で、部屋に篭っていないといけなかったんだ。



でも、私の我が儘のせいで、それは破られてしまった。