空蝉の光 -桜花乱舞-



「ずっと会いたかったよ、一哉君」



「俺も…、ずっと桜ちゃんに会いたかった」



私は一哉君の肩に手を回し、その胸に顔を埋めた。



「桜ちゃん、一緒に逃げよう?誰も俺達のことを知らない所に…」



頭上から彼の諭すような声が聞こえた。



逃げるっていうことは駆け落ち…?



それは駄目…。



私は一哉君の腕の中で首を横に振った。



もし、私が彼と駆け落ちしたら、お母さん達に危険が及んでしまう。



そんなことは絶対に嫌だ。