すると、突然私達の横に馬車が止まった。 扉が開くと、中から一人の男が出て来た。 一哉君は男を見た途端、身体を離し、私を後ろに追いやる。 その瞬間、男は一哉君を殴った。 「ぐ…っ」 殴られた一哉君はその場に倒れた。 「一哉君!」 私はそんな彼に駆け寄った。 唇の端から血が出ている。 一哉君は唇の端から流れる血を拭うと、目の前の男を睨みつけた。