「何だ、そういうこと?良いよ、出かけよう」



「えっ!?良いの?」



「良いに決まってるでしょ。俺も桜ちゃんと出かけたかったし」



一哉君は笑みを浮かべると、私の手を掴んだ。



「じゃあ、桜ちゃん借りますね」



「はい」



彼が家の中に向かって言うと、居間から新が顔を出した。



そして、私は一哉君に手を握られたまま、家を出た。



握られている手は大きくて、温かい。



私はそんな彼の手を握り返した。