玄関に着くと、和装をした一哉君がいた。



彼はうちに来る時はいつも和装だ。



本人曰く、さすがにあの格好では目立つらしい。



着物はいつもお洒落な模様で、今日の着物も黒地に白い線が入ったお洒落な着流しだった。



「あ、桜ちゃん。今日は随分と可愛い格好してるね。似合ってるよ」



「ありがとう。あのね、お願いがあるんだけど…」



私は彼にお父さん達から言われたことを話した。