すると、彼に鼻を摘まれた。



「んにゃ!?」



「馬鹿だね、君は。何で、俺に相談してくれなかったの?」



「だって、一哉君は明治政府の要人の息子だし…」



「それが馬鹿なんだよ。俺は君の生まれなんて気にしない。だって、俺は桜ちゃんのすべてに惚れてるんだから」



すると、一哉君は私の身体を抱き寄せた。



さっきも感じたけど、彼の腕の中は落ち着く。



彼の優しさが滲み出る温もりに自然と涙が零れた。