空蝉の光 -桜花乱舞-



「もしかして、兄貴。あの女に惚れたのか?」



俺は顔を上げ、直也を見据えた。



「ああ、俺は桜ちゃんが好きだよ」



「やっぱりな。まあ、俺は反対しなねぇよ。親父にも黙っとく」



「済まないな、直也」



直也は照れ臭そうに頭を掻いていた。