そう思うと、俺は無意識に父上に伝えることを拒んでいた。 そんな俺の感情を読み取ったように直哉は驚いたように肩を竦めていた。 「いつも親父の言いなりの兄貴が珍しいな」 俺は水科家の長男として、父上の言う通りに事をこなしてきた。 その時は何でも父上が正しいと思っている。 でも、今は違う。