空蝉の光 -桜花乱舞-



「兄貴、このこと親父には…?」



直也は俺の異変に気付いたらしく、控え目に声をかけて来た。



「伝えなくて良い」



俺は額に手を当てたまま、直也にそう告げた。



父上は明治政府の要人。



それに加え、うちは長州の血を引いている。



もし、桜ちゃんがあの土方歳三と葛葉涼の娘だったとして、それが父上にバレたら――。