確かに苗字を聞いた時、違和感を抱いた。 もしかして――、って思った。 でも、『土方』なんて苗字探せば、いくらでも見つかる。 だから、その感じた違和感もあまり気にとめていなかった。 まさか、その『もしかして』が当たるとは思っても見なかった。 俺は額に手を当て、うなだれた。 直也曰く、桜ちゃんの父親は土方、母親は『花散り鬼』と呼ばれた葛葉涼らしい。 ってことは、あの時俺が助けた瀕死の桜ちゃんの母親は葛葉涼で、隣にいたのが土方歳三か…。 拍子抜けだな…。