「桜ちゃん…、君に何があったの?」 俺の呟きは虚空へと消えて行く。 俺は胡座をかいた膝の上に肘を置くと、顔を両手で覆った。 「兄貴、ちょっと良い――、って、何でこんなに散らかってんだ!?」 直也の素っ頓狂な声が聞こえ、俺は顔を上げた。 そこには荷物を踏まないようにつま先で歩く直也がいた。 「何で荒れてんだよ、兄貴?こんなに荒れるなんて初めてじゃねぇか?」 イライラしてる時に来るなよ…。 俺は苛立ちが込められた眼差しを直也に向けた。