「一哉君…」



もう一哉君には会えない。



大切な人達を守るためなら、そんなことへっちゃらだと思った。



でも、実際は違った。



「会いたいよ…、一哉君…」



身体の奥から彼に会いたいという感情がどんどん溢れて来る。



私は玄関で膝を抱え、一人声もなく泣いていた。



彼に会えないという感情を涙として出すかのように――。