私は一哉君と待ち合わせている甘味屋には行かず、家に帰った。 家に着くなり、玄関にしゃがみ込んだ。 「どうして…、どうしてなの…。恭介…」 私は膝を抱え、小さくなった。 すると、自然と涙が零れた。 恭介が嫌いな訳じゃない。 でも、恋愛の『好き』という感情はない。 それに、恭介に告白された時、違う人が脳裏に浮かんだ。 そう、彼が――。