意識を取り戻してから3日後。容態か急変して。



車の運転手は罪に問われなかった。


当たり前だ。飛び出した妹が悪いのだ。それでも、受け入れることはできなかった。



運転手は何度も謝罪に来たらしいが、お父さんは頑として家に入れなかった。


だから私も会ったことはない。


その代わり、いくらかはわからないけれど、少なくはない慰謝料だけを受け取ったことを後になって聞いた。



知っているのは年齢と、苗字だけ。

“垣之内”












「……ごめんなさい、本当に、……ごめんなさい……」




そう繰り返す私に、垣之内さんは困ったように笑うだけだった。



抱きしめたままのカバンの中から、大事に布でくるんでおいたものを取り出す。


その布を丁寧に開いて、ぱさりと床に落とした。中から姿を現した凶器が、――研いだばかりの包丁が窓から差し込まれる光によってきらりと光った。嗚呼、不気味。



手が震える。



――復讐なのだ、これは。