なんの変哲もないいつもの川原に。

いかれた私がただひたすら落ちてる石を拾い、投げる。

辺りは桜が咲き誇り、いかにも平和そのものだ。

けど。

そんなの今の私には関係のない事。

零れ桜を眺めては。

散り行く様を仰いでは。

刹那の無念を哀れに思う。

こんな私に、到底楽しむ事の出来ない季節。



「バカ臭い…。」

そう呟いて川原に寝そべる。

私の名前は土田亜夕奈。

高校三年。

「また寝てる。」

そう言って顔を覗き込むのは、近所に住む幼馴染の悠太だ。

なんの反応もしない私に、悠太は続けてこう言った。

「その帽子やめろって言ったろ?」

「気に入ってるの。」

「制服姿に麦わら帽子なんて、どう見ても変だろ。だから学校で変わり者呼ばわりされるんだぞ。」

「これがないと落ち着かないの。もう、ほっといてよ!」

そう言って私は立ち上がり、歩き出す。

人に何かを指摘されるのは嫌いだ。

なぜなら、私は誰にも迷惑をかけた覚えはない。