「……太一が嫌なら、いい」
「えっ、ちょっ」
「帰る」
清良さんは、突然すっくと立ち上がってしまった。
「ま、待って。ごめん」
「何に対してのごめんなの、それは」
「わかんない、けど、ごめん。
帰らないで」
俺はまわりこんで、部屋のドアを背中でふさいだ。
「わざとって、どういうこと?」
「…………」
「ねぇ、清良さん」
「……自分で考えろ」
「俺バカだし、女の子慣れてないからわかんない」
「……もー!」
「ねえ、こういうことでいいの?」
俺は、もう辛抱たまらず。
清良さんの肩をつかんで、無理やり唇を押し付けた。
んぁ、と清良さんの細い喉から、マヌケな声が漏れた。



