「太一~!どういうことよ~!」


「のわぁっ!!」



俺は背中にありえない衝撃を受けて、

廊下に崩れ落ちた。


放課後の学校にまだ残っていた、

何人かの生徒が何事かと振り返る。



「清良、やめてよ~」


「だってまりあ!

あんたが、あんたが……

東京行くなんて、言うからぁぁぁぁ」



俺に跳び蹴りを食らわせた犯人らしい清良さんは、

そばにいた姉ちゃんに抱きついて、

わんわん泣き出してしまった。



「あのー、姉ちゃん?」


「ごめんね、太一。

進路の話をしたら、こんな感じで……」


「あー……

清良さん、なんでそれで俺を蹴るの?」





六花の翼の戦いが終わった夏から、季節は過ぎて。


俺達は無事に進級。


姉ちゃん達は3年生に、俺は2年生になった。



姉ちゃんは、かねてからの希望通り、

卒業したら東京の専門学校に行こうとしてて……

それをなかなか清良さんに言い出せなかったんだ。