「早くなんとかしろっ、役立たず!!」
手のひらでそう叫ぶ。
見下ろせば、まりあの白く豊かな胸の谷間。
それが、奈落の底に見えた。
「はぁ?それが、人にものを頼む態度ですか?」
奈落の底を持った女は、じろりと俺をにらむ。
「あ、いや、その……」
「ここにはさんで、窒息させてあげましょうかあああ?」
まりあは俺の襟をつまみ、自分の胸元へ持っていく。
「ややや、やめろ!!
すまん、すまなかった!!」
実際に挟まれて死ねたら、それも幸せかもしれない。
一瞬でもそう思った俺が悪かった。
とにかく色々な思いを込めて謝ると、
まりあはくすりと笑った。
「可愛い」
「はあ?」
「瑛さん、この方が可愛いから、
もう少しこのままでも良くないですか?」
か、可愛いだと!?
完全に、バカにされた……!
「いいわけないだろう!!
このままじゃ、敵に襲われたときにお前を守れない!」
「あ……そうかぁ」
「頼む、早く……」
もう疲れてぐったりする俺に、まりあは残念そうな顔をした。
と、思ったら。
次の瞬間には悪い顔で笑った。



