まりあは深呼吸をした。
多分、あたしの前で泣いてしまわないように。
「元気でいるんだろうとは、思うの。
でもね、それを知っちゃったら……
あたしは、いつまでも、彼が迎えに来てくれるのを、期待しちゃいそうで……」
「いいじゃん……それって、だめなの?」
「ダメ、だよ。
だってあたし、言ったんだもん。
他の誰かを愛しても、幸せでいてねって。
幸せでいてくれれば、それでいいって……」
「まりあ……」
「バカだよね。
それは、本気だったけど、子供の強がりでもあった。
本当は、そばにいてほしかった。
本当は……今でも……」
まりあは、言葉を切ってしまった。
その先は、言わないでもわかった。
あわせた手から、まりあの切なさが、伝わってきた。
「太一は、わかったって、言ってくれたの。
だから清良にも、そうやって、言ったんだと思う。
太一は、普通とか普通じゃないとか、そういうことじゃなくて。
ただ、前に進まなきゃいけないと思ってる、
あたしを応援してくれようとしたんだと、思うの」
お願い、と、まりあは続けた。
「清良、まだ太一のこと好きだよね?」
「はあ?
さ、さぁ……」
「嫌いになったら、即行で全部捨てるはずだもん。
太一のものなんか。
清良の性格だったら」
確かに。
さすがまりあ、よくわかってる……。



