だんだんと、イライラしてきた。
何を言ってるんだ、この男は。
「あれだけのことを、二人で乗り越えたんだよ?
そう簡単に、忘れられないよ」
「でも、6年だぜ?」
「まだ、6年よ。
とにかくあたしは、あのヤリ逃げ忍者に、まりあに土下座させるのが夢だから。
目標だから」
「くっだらね……」
太一はそう言って、頭を抱えてしまった。
なんだとう!?
くだらないだとう!?
「天誅!」
「ぐはっ!」
あたしはまだ手元にあったフォークを、
太一の広いデコに、突き刺した!
「くだらなくないっ!
まりあには瑛しかいないのっ!
あんただって昔は、そう言ってたじゃん!」
「いてー。
うわ、血が出た、血が!」
「血なんか、女は月に一回、大量に出すんだよ!
それくらいガタガタ言うな!
あと、くだらないって、二度と言うなっ!」
あたしはブリブリ怒りながら、乱暴にお皿を洗いだした。
太一が背後から忍び寄る足音がする。
その手から、流しにフォークが放られた。
がしゃん、と、無機質な音がして。
あたしは、泣きそうになった。



