模擬挙式のあとは、お決まりの試食会。
他のスタッフは、お客様の対応に追われている。
瑛さん効果か、試食も済んでないのに、詳しい話を聞きたいというカップルもいるみたいだ。
あたしたちは二人で、控え室に戻った。
「じゃあ、着替えてきますから。
メイクも普段のものに直しますから、時間かかりますよ。
もし待つのが嫌だったら、先に帰っててください」
さっきのことが尾を引いて、思わず可愛くない言い方をしてしまった。
瑛さんは少し眉をひそめたけど、
「……いや、このあと行きたいところがある。
待ってるから、ゆっくりやってこい」
と、短く返した。
「行きたいところ?」
「俺一人では、無理だから」
「?どこですか?」
首を傾げると、瑛さんは咳払いをして。
「……指輪」
と、一言呟いた。



