Thanks for XX【六花の翼・番外編】



しかし、最近結婚した女優さんが着ていたということで、人気のあるドレスなのだ。


もちろん、瑛さんはそんなこと知らないだろうけど。


長い髪はゆるく巻いて、そのまま鎖骨と背中に流す。


ベールは、『マリアベール』と呼ばれる、ボリュームのない、修道女の頭巾のような形で、

それがレース素材になり、縁に細かい刺繍が施されたベールだ。



「……まりあだから、マリアベール、なんつって」


「つまらない」


「ですよね……」



瑛さんは、あたしのギャグをバッサリ打ち落とす。


しかし、黒いカラコンをした目は、優しく笑っているようだった。



「よし……少しはやる気が出た」


「え?」


「さっさと終わらせて、帰ろう」



瑛さんは持っていた進行表をテーブルに放り、あたしにその手を差し出した。


……ええ、わかってました。


絶対、素直にほめてはくれないと。