しかし、最近結婚した女優さんが着ていたということで、人気のあるドレスなのだ。
もちろん、瑛さんはそんなこと知らないだろうけど。
長い髪はゆるく巻いて、そのまま鎖骨と背中に流す。
ベールは、『マリアベール』と呼ばれる、ボリュームのない、修道女の頭巾のような形で、
それがレース素材になり、縁に細かい刺繍が施されたベールだ。
「……まりあだから、マリアベール、なんつって」
「つまらない」
「ですよね……」
瑛さんは、あたしのギャグをバッサリ打ち落とす。
しかし、黒いカラコンをした目は、優しく笑っているようだった。
「よし……少しはやる気が出た」
「え?」
「さっさと終わらせて、帰ろう」
瑛さんは持っていた進行表をテーブルに放り、あたしにその手を差し出した。
……ええ、わかってました。
絶対、素直にほめてはくれないと。



