もう……。
そりゃあ、瑛さんにとってはとんだ災難だけどさ。
早朝からつれて来られて、あたしが着替える間に、段取り覚えなきゃいけないし。
あたしはもう何度もモデルをしてるから、慣れてるし、新鮮味も何もないんだけど。
でもね、ちょっとは協力してくれてもいいんじゃない?
あたしだって、小さい頃から働いていたあなたにはとても敵わないけど、
頑張ってこの仕事をしてきたんだよ?
「安城さん、あんな旦那さんどこで見つけたの!?」
メイクスタッフが興奮した様子で話しかけてくる。
「……雑木林」
「え?」
「雨の日、雑木林で見つけたの」
「またまたぁ~」
メイクブラシが、頬をするすると滑っていく。
本当なんだもん。
見つけたっていうか、捕獲された、が正しいんだけど。



