僕の無言を、お父ちゃんは承諾ととらえたらしい。
ポケットから取り出したチョークで、足元に魔法陣をすらすら書くと。
お父ちゃんの太い腕が、僕の右腕をつかんで、その中に引き入れた。
そして、当時はわからなかった古代の言葉で、呪文を唱える。
周りの空気が一変し、黒く禍々しいものに変わった。
途端に僕は、それが恐ろしくなる。
『あかん、やぱりあかん。
怖いよ、お父ちゃん』
『大丈夫や。任せとき。
上等な悪魔と、契約させたるから』
『──っアホか、そんなんいらんわ……っ』
最後の言葉は、音にならへんかった。
お父ちゃんの呪術は成功し、
いつの間にか悪魔がしっかり召喚されとったんや。
自分の肩越しに、僕の視線が固まったのを見て、お父ちゃんは笑った。
いやいや、何笑てんねん。
背後に、悪魔がいるんやで?



