「腕の刺青……まだあるのか」
「は?」
「あっただろう、昔」
「よう覚えてんな。
あるある。
でも何で今、そんな話を?」
コートの上から右腕を叩いて見せると、
瑛は若干、紫色の目を細めた。
「それが、お前を悪夢に導いているような気がする」
「……!」
……さすが、瑛。
タダモノじゃないな。
「ようわかったな」
「今はわからん。もう霊力はないからな。
昔、あの刺青が霊力の源なんじゃないかと思っただけだ」
「それが何で、悪夢に僕を導くと?」
「……強すぎる力は、人の神経を犯す」
「なるほど。お前らしい答えや。
まりあも瑛も、それでめっちゃ傷ついたもんな」
力を持つがゆえ、ここにいる全員が傷を負った。
ある者たちは力を捨て、世界を守った。
ある者はそれを隠し、母として生きる。
またある者は、それを上手に生かして家族を養う。
じゃあ、僕は?



