洞窟、水の雫の音が響いている。

(アキ)「あっ?」
(仙人)「気が付いたか?」
(カズ)「ううーん」
(ヒデ)「いてててて」
(トラ)「うーん」

(仙人)「皆、気が付いたようじゃな」
(アキ)「人探しどころじゃなかったわよ」

(仙人)「そうじゃろうな。戦闘現場はそれどころではないわな。
じゃがしかし、人間、必死の戦いをしている時が最も美しい。
すばやくその者の手を掴み、オーイクモ!と叫ぶことじゃ」

(アキ)「ぱっと掴んでオーイクモ!ね」
(仙人)「そうじゃ」
(アキ)「皆、分かった?今度こそ絶対つかまえようね!」
(3人)「ははっ、かしこまって候」

(アキ)「で、どこへいくの今度?」
(仙人)「それでは、同時代の桶狭間の戦いをのぞいてみよう。
今度は必ず若者を連れてまいられよ。天界の第二指令!
桶狭間の戦い!」

大きな電源スイッチの入る音。
大画面が起動する音。

(仙人)「よいかここが桶狭間じゃ。今川義元は2万4千の大軍じゃが
隊列が延びて、ここ桶狭間に5千の兵で本陣を張った。早朝、この報を
察知するや信長は直ちに出陣。熱田神宮へ向かう。旗本や家来達が必死

になって追いかける。その数2千!その中にもぐり込むのじゃ。必ず
姫の探す若者がおるはずじゃ。心して探し出しここへお連れ申し上げよ。
よいな!」

(四人)「ははっ、かしこまって候」

小型宇宙船(3S)が来る音。
ホーバリングの音。ピポパピポパピポパ。
ステップが下りる音。
四人が駆け上がる音。

(アキ)「今度こそは必ず掴まえる。みんな!早死にするな!」
(三人)「ははっ、かしこまって候」

3S発進、遠ざかっていく。
ー間ー
稲妻、雷鳴、豪雨の音。
鎧武者が忍び歩む甲冑の音。
馬の鼻息。強い雨の音。

(トラ)「もう少しの辛抱ぞ」
(カズ)「激しい雨で今川どもはこちらに気付いておりませぬ」

激しい雨の音。
(信長)「皆のもの、止まれ!無用な旗指物は打ち捨てよ!
鉄砲火縄をぬらすな!大いに息を吸って心して待機せよ!」

激しい雨の音。

(ヒデ)「アキ姫、決して先駆けなさらぬよう」
(アキ)「分かっておる」
(カズ)「絶対に私の背から離れてはなりませぬぞ」
(トラ)「とにかく姫は若者を探してください」
(アキ)「わかっておる。腕を掴んでオーイクモ」