その日から優也との距離が開いた気がした。


翌朝。

いつものように朝食をとり、優也と本堂さんとの三人で家を出る。

ここまではいつもと一緒だ。

いつもと違うのはあたしと優也の間に流れる空気。

何も話さず目も合わせずただひたすら歩く。

このまま気まずいのも嫌だけど何を話していいか分からないし……。

そんなあたし達の側についていなければならない本堂さんに申し訳ないな。

「着きましたよ。さや様、優也様、いってらっしゃいませ」

本堂さんに声をかけられてもう学校に着いたのだと気付いた。

本堂さんは一礼をしていつもと変わらない笑みを浮かべた。

その笑顔に少しだけ心が安らいだ。

「はい。行ってきます」

本堂さんにそう返し、背を向けると優也と一緒に玄関へと向かった。

相変わらず無言だけど。

無言のまま二人で歩いているとあたしの教室が見えてくる。

「じゃ、じゃああたしはこっちだから……」

「さや、今日は本堂さんと先に帰ってて。やることあって遅くなるから」

「……うん」

優也は笑って言った。

昨日手当したところが痛そうだ。

優也はあたしに心配かけまいといつも笑っている。

あたしのために笑ってあたしのために耐えて、あたしのために……。

全部あたしのため。

対してあたしはなんでこんなに不器用なんだろう。