「さやのせいじゃない。さやは心配しなくてもいいよ」


「でも……」


あたしは優也の頬にそっと触れる。


でも、少し触れたところで優也にパシッと手を払われた。


「え?」


「あっごめんっ」


優也自身も驚いたように目を見開いている。


払うつもりはなかったのかもしれない。


実際のところ払われた手は痛くなかった。


「ゆっ優也も疲れてるよねっ。今日は早く休まないと!今、救急箱持ってくるわねっ」


あたしは早口でまくし立てると、半ば走るようにしてその場を後にした。






泣いちゃダメだ。


ここであたしが泣くのは筋違いというものだろう。


きっと泣きたいのは優也の方だ。


優也を襲った人があたしのストーカーに関係しているなら、優也はいいとばっちりだ。


それに、あたしに相談したところであたしは何の役にも立てないもんね。


でも、でもね。


心配することもだめなの……?