あたしのイジワル執事様!?【続編更新中】

男は金髪でたくさんのピアスを身につけている。


見た目は大学生くらいだろうか。


「す、すみませんっ。大丈夫ですか?」


あたしは慌てて立ち上がり、男の人の顔を覗き込んで、そう問う。


男はあたしの顔を確認するなり、口角を上げてニヤリと笑った。


その表情が、あたしにはとても狂気的に見えた。


「君、東条さやちゃんだよね?」


「そう、ですけど……」


あたしはそう答えてハッとした。


男が小さく
「当たり」
とつぶやいたからだ。


逃げろ、と脳が警鐘を鳴らす。


ここにいてはいけない。


あたしはじりじりと後ずさった。


あたしの背にあるのは、たった今走ってきたばかりの道だ。


逃げようと思えば走って逃げることが出来る。


あたしは走り出すタイミングを伺っていた。