きっと話せば、仕事に穴開けてまで全力で犯人探しをすると思う。


でも、そんなことで迷惑をかけたくない。


「何かあってからでは遅いのですよ?」


「わかってる。でも、お願い……」


わかってる。


あたしのわがままだってことも。


斎藤さんが逆らえないってことも。


「それに、いざとなったらみんなに話すから」


あたしは笑顔を作って言った。


「……仕方がありませんね」


斎藤さんは、これ捨ててきます、と言って部屋を後にした。


斎藤さんが出ていった後、あたしは震える自分の身体をただ抱きしめていた。