あたしのお父様は婚約者のお父様と親しげに会話をはずませている。


あたしも緊張はしつつも、会話をはずませる。


婚約者は優斗(ゆうと)さんというらしい。


「僕、さやさんにずっとお会いしたかったんです」


そう言って優斗さんは微笑む。


その笑顔が少しかっこよく見えた。


「実はあたしもです」


なんて言ってみる。


あたしも同じように返すと優斗さんは嬉しそうに笑った。


本当は婚約者と会わずに優也と話していたい。


だから、あたしのついたウソでそこまで喜ばれても困る。


「さやさん?」


あたしは名前を呼ばれてハッとする。


いつの間にかボーッとしていたらしい。


「いえっ、何でもないですよ」


あたしは慌てて笑顔をつくる。