「失礼します、お父様」 あたしはノックをして、お父様のいる書斎に入った。 優也は仕事をしているのか、ここには付いて来ていない。 「さや、今から言うことをしっかり聞きなさい」 「はい」 ここでのあたし達の会話は敬語。 お父様が敬語のときは、仕事や東条グループの話のときだ。 普段のお父様はこんなに硬くない。 ときには、冗談なんかも言ったりするんだ。 お父様は咳払いをひとつして、本題に入った。