隣の彼女は・・・

「駿くんち、今ご両親留守なんだって。」


神崎先生が、そう言ってキッチンに向かう。



さくらが俺の前にクッションを置いて座り込み


「そうなの?旅行?」

「いえ、父が今単身赴任で海外に居るので・・・。」




「お母さんが、駿くんの夏休み中だけ

お父さんのとこに行ってるんだってさ。

一人で可愛そうだろ?だから連れてきた。



さくら・・・何か飲物ないの?」







冷蔵庫の中を物色してるらしい神崎先生。




「夏休み中なら放って置いてもいいからって感じで、
休みに入ったら即行親父のとこ行っちゃって。」


遊び放題とかって思ってたんだよな~

なのに・・・



「受験生なのに一人は大変だね。」



さくらが気にしてくれてる。



だから・・



「結構気楽ですよ。一人は慣れてるし。」



少し淋しげに

さくらの同情をかうように


『一人は慣れてる』


そう言った。



そして


そう言った時にさくらが見せた反応を見逃さなかった。