「うわ~!パグやん!
まなえの、好きなパグやん!」
「そうやねん!そうまくんが
誕生日プレゼントで!」
「念願のパグやな!」
しおりはまなえがパグ好きなん
ずっと知ってるから自分も喜んでる。
「え、待って待って。
それ…パグちゃうやろ?」
「は?」
「え?」
「パグじゃ、ない?」
まさきの一言に静まり返った。
その言葉にすかさず反応したのが
俺としおりとまなえ。
パグじゃないって何言うてんねん…
「パグじゃないって
どうみてもパグやんか!」
「いや、それ違うよな?
確か…フレンチブルドック?」
「そうそう!絶対それ!」
もう、俺とまなえとしおりは
放心状態。
これがパグじゃなかったら
何がパグ……
「まなえちゃんもしおりちゃんも
これがパグと思って生きてきたん?」
「うん……」
「待って、もうパニック…」
「んで、何でそうままで
これ、パグやと思ってんねん!」
「何でって言われても…」
「何か色々偶然すぎて
奇跡やな、もう(笑)」
結局、こいつの正体は
パグじゃなくてフレンチブルドック。
何か、もう複雑。
「名前は~?」
「まだない!ずっと
パグってよんでた!」
もう、パグじゃないし
この名前あかんな。
「え!そおなん!
ぢゃあしおりが決める!
んーーー…トマト!
トマトにしよ!」
「はぁ?ネーミングセンス
なさすぎやろ。」
「そうまくん、何?」
「・・・何かお前キャラ
変わってないか。」
「だってかわいいやんか!トマト!
あ!そーや!そうまくんとまなえ
初めてのちゃんとした会話
プチトマト転がしてごめんなさい。かなんかやねやろ?ちょうどいいやん!」
「なんやねんそのあとから
思い出して付けたした感じ。」
でも結局、ぎゃーぎゃー
騒いだあげく名前はトマトになった。
今までのやりとりは全部玄関。
部屋入るまでに20分はかかった。

