それでも僕は、お前が嫌いだ


 男の前に立つ“片目のない老人”は、グングニルと呼ばれる槍をアベルへ向けた。

 『贄は』

 しわがれた声に年齢を感じさせるも、アベルは恐れることなくハァと浅い溜息を吐き、顔の前で右手を一度扇いだ。

「長い詠唱と犠牲のわりには、代価が多すぎて割が合わないんじゃない?」