ザザザッと、雑木を薙(な)いで走る音が静かな森林を騒がせた。 『残、斬、切!』 森林の中腹地点、剣を寝かせて走る女は頭上から聞こえた異質な程冷たい声色に立ち止まる。 詠唱と呼ばれるそれは、術者(力を持つモノ)が“何かを作り上げた”ことを告げている。 長い艶やかな金髪を揺らし、シャクナ・ミルキーは頭上から降り注ぐ刃に、その場を飛びのく。 先程シャクナが立っていた地に斧や剣やらが突き刺さり、自分の反射神経に感謝しながらシャクナは頭上を見上げた。