そして私たちは体育館に足を踏み入れた。
初めての学校だから、由乃ちゃんに誘導してもらう。
「わー! 人多いっ。中学ん時の2,3倍はいそうだよ、光莉」
「そんなに多いの? すごいねえ…」
こんな時、普通の目の見えない子ならきっと憂鬱になるんだろうけど、私にはそれがない。
それはきっと、由乃ちゃんのおかげだ。
「はいっ、ここが光莉の席だよ」
「ありがと。ちなみにここは体育館のどのあたり?」
「んーっとねぇ、左側の前の辺かなあ? あたし、説明ヘタだかんな―」
「そんなことないよ」
「―――これから、零名高校入学式を――――-」
入学式が始まった。

