「光莉―! あたしたちおなじクラスだよ!」



「由乃ちゃん? この声は由乃ちゃんでしょ?」


「あったりー。ホント光莉もすごいよね。声だけで分かるなんて」





「そんなことないよ」


 私、実谷光莉(ジツタニヒカリ)。



 今日から零名高校(レイメイコウコウ)1年生になりました。




 由乃ちゃんというのは私の親友。

 本名は仁紫沢由乃(ニシサワユノ)っていうの。




「光莉! 止まって!」

「え?」



 由乃ちゃんの声に、足を止める。



「目の前、鉄の柵あるよ。そこ」


 手を伸ばしてみると冷たい感触。


「あ…ホントだ。危なかった~。ありがとう」