「はぁ~……」


何度めのため息だろう。


机に寝そべってため息ばかり。


「なに~? 希子ったら、新年度早々ため息ついて!」

「そりゃ~新年度だからでしょうよ」

「あ、そっか」


横ではユミとアヤが、勝手なことを言いながらにやにや笑ってる。


も~、ほっといてよね。


そんな二人は無情にも、うつろな顔をした私に「グー」にした手を差し出す。

マイクのつもりみたい。


「今の心境は?」


「……春って好きだったけど、別れの季節だからやっぱり嫌い」

「「ぎゃはははは!!!!」」



「新年度が始まった感想は?」


「……これから先、どうやって恋を探せばいいのか路頭に迷っています」


「「ぎゃははははははは!!!!」」



ちょっと~!

お腹を抱えてヒーヒーいいながら爆笑している二人を横目に、ぐったりとうなだれる。


私にとっては一大事なんだから。



今日から高校3年生。


最高学年。


つまり、「先輩」という存在が皆無だってことが……。