「それじゃあ、行きますよー!」



遠足当日


先生の合図と同時に、バスが発車した




隣に座っているのは、もちろん百合



あの日から丁度一週間

百合と凌くんはあの日以来、会話らしい会話をしていない



私と朔弥のように、いつもする口げんかもしていない



「花音」

「ん?」


隣を見ると、真剣な目をして真っ直ぐ前を見つめる百合がいた



「あたし、思ったんだ。うじうじしてたら、何も変わらないって。だから…私、イルカショーに凌を誘ってみる」


「!」



そう言った百合は、何かから吹っ切れたような、清々しい顔をしていた



「うん!頑張れ!私も朔弥のとこ行ってみる!」



せっかくの遠足、しかも水族館だもん



好きな人と一緒にいたいよね




「お互い頑張ろうね、花音!」


「うん!」




私達は強く両手を握りあった