長い廊下を渡り、女王様を先頭に私たちは食堂へ向かった。
道すがらメアリに晩御飯は何かと聞いたところ、メインディッシュは白身魚のムニエルとかぼちゃのポタージュ、デザートは苺のタルトらしい。
ちなみに苺タルトは女王様の大好物だとメアリに教えてもらった。
だからちょっと早足なのかな?
食堂はロングテーブルに10人分くらいの椅子が置いてある大きな部屋だった。
薔薇の刺繍がしてある白いテーブルクロスに外側からスプーン、ナイフ、フォークが並べてある。
どうぞ、とメアリに足されて女王様の向かいに座る。
ナフキンを風雅な動作で膝の上に引き終えた女王様をまねた後、女王様はメアリにそういえば、と切り出して白兎はまだなの?と聞いた。
「はい、今呼びにいったのですが・・・自室にはいらっしゃりませんでした」
「そう。じゃあ今晩は白兎抜きね」
「そうなりますね」
シェフらしき人が前菜を持ってきても目もくれずに女王様は食べ始める。
『普段は白兎も一緒なんですか?』
女王様と食事をするなんて、割と地位が高いのではと思ったので一応聞く。
「・・・まぁ、あたしたちは、この世界が出来て初めにやってきたから、何となく特別なのよ。特別は特別同士でいたいじゃない?」
じゃあ今日の首をはねるって言うのは冗談なんですね、と心の中で呟く。
『不思議の国は、最近出来たってことですか?』
「最近って程最近じゃあないけど、ここが出来てまだ5年も経ってないわ」
結構最近だと思いますが。
「まぁ、私たちは特別だってことよ。勿論貴女も。むしろ貴女が一番大切なんだから」
『・・・どうして?』
その続きは知っているような気もしたけど、私は眉間にしわを寄せて聞いた。
「だって貴女はアリスだもの。導くものである白兎が間違うはずはないし・・・”彼”の所有物である貴女に手を出したら、あたしたちはどうなることか、むしろ世界が消えてしまうわ」


