偽物の国のアリス



お風呂場を出ると、メイドらしき三つ編みの少女がせっせとバスタオルを運んでいた。


その子は私たちを見ると直角にお辞儀をして頭を下げた。


「メアリ・アン、タオルはそこに置いていてくれて構わないわ」


「はい!あ、女王様。お湯加減はいかがでしたか?」


「とてもよかったわ。ありがとう」


女王様が優しく微笑むと、少女は照れくさそうにはにかんだ。


「紹介するわ、アリス。この子はメアリ・アン。あたしの専属のメイドよ」


「ごごご、ご紹介に預かりました、メアリ・アンと申しますですっ。メアリと呼んでくれたら、その、嬉しいです・・・」


メアリ・アンは、恥ずかしいのかだんだん声を小さくさせて、頬を染めて俯く。


女王様よりお年下に見えるから、私よりさらに年下ってことか。


『じゃあ遠慮なく、メアリでいいかな。私のこともアリスでいいから。よろしくね』


「はいっ!よろしくお願いします、アリス!!」


メアリは目に涙をためて、差し出した私の手をぶんぶんと振った。


人見知りっぽいけど、元気な子のようだ。


「挨拶はもういいかしら?そろそろ着替えないと風邪をひいてしまうわ」


腕を擦り、苦笑い気味の女王様にそう言われ、バスタオル一枚だったことを思い出す。


「もっ、申し訳ございません!直ちに用意します!!」


あわあわと慌ててメアリは奥の部屋に走っていき、ほんの数秒で下着とネグリジェの様な服を持ってきた。


「とりあえず今はこれを着て?着せ替え人形ごっこは私の部屋のクローゼットでするから」


『わかりました』


レースの付いたフリフリのネグリジェに腕を通す。


サイズはぴったりだし、着心地もいいけど、あまりこういった服は着たことがないから違和感がある。





そのあとメアリに髪を乾かしてもらい、私と女王様は部屋に戻った。